2015年7月26日日曜日

Caponata alla Siciliana 夏のシチリアの定番 茄子の冷製カポナータ

梅雨も明けてようやく夏本番、あまりの暑さで食欲もいまひとつなんてときは、野菜を甘酸っぱく煮たシチリア風カポナータを冷たく冷やしたアンティパストなんていかがですか。
夏野菜をあれこれ使ってカラフルに仕上げた現代風もいいけど、今日は本来この料理の主役である茄子をメインにした古風な一皿です。

カポナータはよくラタトゥイユに似ていると言われますよね。
ラタトゥイユはイタリア料理ではなく南フランスはプロヴァンス地方の料理ですが、広くはカポナータと同じ地中海料理。
野菜がごろごろ入ったトマト煮込みは南ヨーロッパではどこの家庭でも作られる定番惣菜、使っている野菜の種類や切り方が多少違うぐらいで見た目はどうしても似たような感じになっちゃいますよね。

庶民に身近な料理だし地域によっていろんな呼び名がありそうですが、イタリアでもせいぜいカンパーニャ地方のチャンボッタがあるぐらい。
ほぼイタリア全土でカポナータの名で親しまれているこの料理ですが、本場シチリアのカポナータは、他とは味がかなり違う異端児。
いわゆる地中海料理のイメージとは異なり、生まれ育った環境がまるで違う異文化の食べ物のようにとにかく甘酸っぱくて味が濃いのが特徴。
どれぐらい甘酸っぱいのかというと中華料理の酢豚(それも肉だけ先に食べて野菜ばっかり残った酢豚)がわりと近いかも。笑
シチリアはご存知のとおりアラブの影響を色濃く残す地域で、イタリア料理ではめったに使わない砂糖をしっかり使うアグロドルチェ=つまり甘酸っぱいエキゾチックな味の料理が多いのが特徴です。
でもこの甘酸っぱさが、目と鼻の先はもうアフリカ大陸という亜熱帯性のシチリアの気候に合ってるわけです。

猛暑が続いて食欲もないなんてときに、どんなものを食べたいですか?
冷たい素麺ですか?
そんなものはイタリアにはありませんよねぇ。
じゃ冷製カッペリーニ?
いえ、そもそも麺を冷たくして食べる習慣がイタリアにはありません。
冷製カッペリーニは細いパスタを素麺に見立てた和製イタリアン。
あちらで冷製パスタというと茹でたてのパスタと冷たいソースを絡めた生ぬるいものが出てきます。笑
暑いときに自然と身体が欲するのは甘酸っぱい味、だからシチリアではこのカポナータのような味がスタンダードなんですね。

さて、冷製パスタが生ぬるいのと同様、アンティパストでも温製と冷製とあった場合の冷製とはたいてい常温を意味しています。
要は大衆食堂などによくある作り置き惣菜や大皿料理みたいなもので、カポナータも大概そんな感じで作り置きされています。
でも、今日のタイトルにわざわざ冷製と書いたのは、文字通り冷蔵庫で冷たく冷やして食べたいから。
味が濃いカポナータには意外に赤やロゼも合いますが、冷製カポナータならやはりきんきんに冷えた白、シチリアのシンボルでもあるエトナ山周辺のカンティーナの果実味がしっかりあるタイプがよく合います。

Ingredienti (per 4 persone)

茄子大2本
ズッキーニ1/2本
玉ねぎ中1個
にんにく1片
ホールトマト1缶
ヴィネガー1/4カップ
塩漬ケイパー大さじ1
オリーブオイル適量
素揚げ用サラダ油適量
乾燥オレガノ少々
砂糖大さじ1
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

茄子、ズッキーニ、玉ねぎは1.5cm大に切り揃えます。
切った茄子は水に浸しておきます。
にんにくは粗みじん切り、塩漬ケイパーは表面の塩を掃っておきます。

高温に熱したサラダ油で茄子をかりっときつね色に揚げ、ズッキーニも同様に素揚げにして、新聞紙などで油を切っておきます。
フライパンにオリーブオイルをしき、にんにくと玉ねぎを炒めます。
ケイパーも加えてケイパーの旨みを出しながら炒めて、玉ねぎが透明になったらホールトマト、砂糖、オレガノ、半量のヴィネガー、水適量を加えて30分ほど煮込みます。
途中で味を見て、塩胡椒で調整します。

素揚げしておいた茄子とズッキーニを加えて数分煮てからヴィネガーの残りを加え、さっと混ぜ合わせて火を止めます。
粗熱がとれるまで冷ましてから冷蔵庫で冷やせば出来上がり。

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