2015年10月17日土曜日

Pizzette di Pane Raffermo 田舎の農村風 チャバッタのピッツェッテ

ピザ生地の代わりにチャバッタというイタリアでは定番のパンを使って作ったミニピッツァ=いわゆるピザトースト。
硬くなったパンも捨てずに有効に利用しつつあり合わせの材料で作る、素朴で家庭的な前菜料理です。

最近は日本でも目にすることが多くなったチャバッタ。
ファッションブランドとビジネスの中心都市ミラノが州都の北イタリアはロンバルディア州発祥の伝統的なパンです。
チャバッタはイタリア語で"Ciabatta"=スリッパという意味。
食べ物と履物が同じ名前というのもどうかと思いますが、これは形状が文字通り草履のような形をしていることからついた名前。
形もさることながら、クープもエッジもなくのっぺらぼうでフランスのバゲットやカンパーニュと比べると見た目はかなり地味。
ベーカリーでいろいろな種類のパンと一緒に売られていても、華やかさがないというか、とにかく目立たない。笑
でも食味の方はというと、クラストは薄くてカリっとしていて、クラムはしっとりもちもちして美味、日本人好みの食感でもあります。

チャバッタの最大の特徴が加水率80%以上という水分量。
くたっとのびきったような緩い生地は捏ねるというより混ぜる感じで、発酵時間も長いため、焼き上がってもクラムがしっとり軟らかく多孔質で大きな気泡がぼこぼこできるので、そこにオリーブオイルをたっぷり含ませて食べるのが美味しい食べ方。
ひらべったくて長方形という形状も、水平にカットしてハムやチーズをはさんでパニーニにするのにちょうどいいんです。
そんなわけでイタリア国内はもちろんのこと、ドイツやフランス、北欧などヨーロッパ全域で高く支持されている人気のパンなんです。

さて、パンが主食の西欧では、食事のあとに残って硬くなってしまったパンをどうするかというのは日常におけるちょっとした悩みごと。
タイトルにある "Pane Raffermo" は その古くなったパンという意味のイタリア語ですが、イタリアには硬くなったパンを利用して作る有名な料理が結構ありますよね。
リボッリータにパンツァネッラ、パッパアルポモドーロ、カネデルリ、アクアコッタなどなど。
いかにもお洒落な料理みたいに聞こえますが、日本でいえば冷やご飯を味噌汁に入れたり、鍋の締めに入れて雑炊にしたようなもの。
田舎の貧しい農村部で食べられてきた家庭料理がルーツです。

そして硬くなった(なってなくてもいいですが)パンのいちばん手軽な利用法が、作り置きのトマトソースとアンチョビ、オリーブ、ケイパーといった、イタリアの家庭ならどこの家の冷蔵庫にもある材料ですぐに簡単に作れるこのピザトースト。
使うパンはチャバッタでなくても、ロゼッタでもバゲットでもなんでもいいです。
トマトソースはオレガノ香るマリナーラ。
少しにんにくも利かせて、モッツァレッラを乗せたらオーブントースターへ。
チーズが溶けてふつふつしてくれば、焼ける匂いがたまらなく食欲をそそる、小さくても本格的なピッツァの味です。

Ingredienti (per 4 persone)

チャバッタ1本
ホールトマト1缶
乾燥オレガノ少々
オリーブオイル適量
アンチョビ8尾
塩漬けケイパー大さじ2
にんにく1片
モッツァレッラ適量
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

アンチョビは適当に刻み、にんにくはスライス、塩漬けケイパーは水につけて少し塩抜きしてから水気をふきとっておきます。
チャバッタは断面が細長くなるよう、少し斜め垂直にスライスします。
厚さは少し薄めの1cm弱ぐらいにします。
チャバッタがなっければバゲットやカンパーニュでも構いません。

ホールトマトをボウルにあけてトマトを手でしっかりつぶして、ザルで濾して種やヘタを取り除きます。
トマトソースを小鍋に移して弱火にかけ、塩ひとつまみと乾燥オレガノ少々を加え、10分ほどふつふつさせたら火を止めて冷まします。

スライスしたパンにオリーブオイルを塗ります。
気泡にオイルが溜まったり、均一に塗れなくても大丈夫です。
続いてトマトソースを塗り、刻んでおいた具材を適当に配置します。
モッツァレッラを手で適当にちぎって乗せ、オリーブオイルを小さじで1杯ぐらいづつたらしかけます。

オーブントースターに入れて、チーズがとろけてふつふつとなってくるまで焼いて、もう一度オリーブオイルをたらせば出来上がり。

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