2015年11月14日土曜日

Capesante Crude con Tapenade 帆立貝のクルード タプナード添え

北の海から届いたぷりぷりの帆立の貝柱を開いて、タプナードペーストをソースに添えた刺身料理 帆立貝のクルード。
タプナードの塩気や苦みが生の帆立のほんのりした甘みとバランス良く調和して、ちょっと大人の味の一皿になりました。

タプナードとは黒オリーブ、アンチョビ、ケイパーなどをペースト状にしたソース、または調味料のこと。
どんな味がするのかというと、全体を包んでいるのは熟した黒オリーブの味ですが、生のにんにくも入っているため意外とぴりぴり辛いのと、ケイパーの苦味やアンチョビの塩気とコク、レモンの酸味などが混ざりあって、それだけで食べるとかなり微妙な味。笑
でも脂っこい料理と合うので、肉のグリルやローストなんかに添えると主役を引き立てて抜群に旨くなるし、今日の帆立のように身にほんのり甘みのある刺身に添えてもよく合います。
トーストしたパンに乗っけてクロスティーニにしてもいいですね。
なにせオール地中海食材の全部入りみたいな万能ソースなので、冷蔵庫に作り置きしておけば、いつものご家庭イタリアンもぐっとグレードが上がっちゃうかもしれませんよぉ。笑

そんな魔法のペーストみたいなタプナードですが、イタリアのものかと思いきや実は南仏プロヴァンス地方が発祥。
でもイタリアンだと思っていた方も半分正解です。
地中海に面した南フランスのプロヴァンス地方はイタリアのリグーリア州と国境を挟んで隣接していて、気候風土や文化がよく似ています。
北海道と同じぐらい北に位置しているにもかかわらず、アペニン山脈が北からの寒気を遮るため一年中温暖な地中海性気候に恵まれた土地。
食文化においてもプロヴァンス料理はバターや生クリームがたっぷりのいわゆる典型的なフランス料理とは一線を画した、まるで南イタリアのような雰囲気の地中海料理。
そして何よりも、イタリア統一前は南フランス一帯とリグーリア地方、ピエモンテ、サルディーニャ島あたりまでが同じ国だったんですね。
そうです、ガリバルディが南イタリア側の国を献上し統一国家となったイタリア王国の前身、北のサルディーニャ王国のことです。
だから半分不正解だけど半分は正解。笑

さて、帆立貝はイタリア料理でもよく使われる食材です。
貝殻を皿に見立てて刻んだ貝柱と香草パン粉を乗せてオーブンで焼いたグラティナータや、貝柱とオレンジ色のコライユをバターでソテーした帆立貝のヴェネチア風などは、キリスト教の習慣で肉を食べない金曜日やクリスマスイブの定番料理です。
魚介を刺身で食べるのを前提に流通システムが高度に発達した日本とは異なりイタリアの鮮魚事情はまだまだ微妙ではありますが、帆立の貝柱は冷凍のものを解凍して刺身で食べられますので、クルード料理としても扱いやすい食材です。
ちょっとリグーリアの香り漂う帆立の刺身には、やはりリグーリア産のヴェルメンティーノ種の白ワインが相性ぴったりです。

Ingredienti (per 4 persone)

刺身用帆立貝200g
オリーブオイル大さじ1
岩塩適量
レモン1/2個
レモン1/4
黒胡椒少量
ベビーリーフ適量
per la Tapenade
黒オリーブ20粒
にんにく1/2片
アンチョビフィレ2尾
塩漬けケイパー大さじ1
オリーブオイル適量
レモン汁小さじ1
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まずタプナードペーストを作ります。
黒オリーブ、にんにく、アンチョビ、ケイパーをざく切りにします。
オリーブオイルを少量加えてフードプロセッサにかけますが、ある程度の粗さの粒度を残すようにして止めます。
黒胡椒とレモン汁を加え、味を見て必要なら塩も加えて調味します。
バジリコのペストと同様に、煮沸したガラス瓶に詰めてオリーブオイルの層で覆えば、1ヶ月ぐらいは冷蔵庫で保存が可能になります。

帆立の貝柱は横から包丁を入れて薄く開き、味が馴染みやすくします。
帆立の身を皿に適当に配置して軽く岩塩を削り、オリーブオイルを少量たらして指の腹でぺたぺたと馴染ませます。

タプナードペーストをオリーブオイルで緩くのばして、帆立の身に適当に散らすように添え、真ん中にベビーリーフをこんもりと盛ります。
ベビーリーフの上に岩塩を削り、オリーブオイルをたらしかけます。
全体に黒胡椒を挽きかけ、レモンを添えれば出来上がり。
食べる直前にレモンを搾っていただきます。

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