2015年12月5日土曜日

Trippa alla Trasteverina ローマの下町風トリッパの煮込み

軟らかくなるまでしっかり下茹でした牛もつを香味野菜のソフリットとトマトで煮込んだ、イタリアの定番もつ料理 トリッパの煮込み。
フィレンツェ風が有名ですが、レシピはそれとほとんど同じでミントの葉が入ってペコリーノチーズがかかるのがローマ風です。

ホルモンは "放るもん" =つまり捨てるものなどと言われますよね。
日本では明治維新より以前は肉を食べる習慣がほとんどなかったため、肉食が普及してきた後も家畜の肉を余すところなくとことん食べ尽くすという術を知らず、内臓などはもっぱら捨てていました。
戦後の貧しい時代に大阪は鶴橋あたりの在日コリアンがそれらを格安で引き取って、朝鮮風の味付けで七輪で焼いて食べたのが現在の日本でのホルモン焼きの始まりだそうです。

もつ料理は世界中どこでも見られますよね。
でも、大概もつ料理が生まれた背景は経済的に豊かな人達が肉を食べ、貧しい層や食肉関係の労働者などが余り物の内臓を手間暇かけて下処理し美味しく食べられるよう工夫したというのが始まりです。
イタリアにも各地に名物のもつ料理がありますが、とりわけ有名なのがローマのトラステヴェレやテスタッチョといった下町地区。
内臓はある意味鮮度が命なんですが、テスタッチョにはかつて大規模な屠殺場があったことから、テスタッチョ地区やお隣トラステヴェレ地区には新鮮な内臓を調達してもつ料理を提供する安価な店が数多くでき、庶民が大勢訪れて発展したことが背景にあります。

ローマの格言で "Giovedi’ Gnocchi, Venerdi’ Pesce, Sabato Trippa" =木曜日にはニョッキを、金曜日には魚を、土曜日はトリッパをという言いならわしがあります。
何曜日には何を食べましょうという提言のことで月曜日から日曜日まで全部あるんですが、金曜日には肉を食べないというキリスト教の信仰がこの格言の根底にあります。
つまり、金曜日には質素な魚料理を食べるので、その前日の木曜日には腹もちの良いこってりソースのニョッキを食べ、土曜日にようやく肉を食べるというわけです。

待ちに待った肉料理が仔牛のステーキや豚肉のローストではなく、内臓のトリッパというところがいかにもローマらしいですねぇ。


Ingredienti (per 10 persone)

ハチノス1kg
にんにく3片
玉ねぎ中2玉
セロリ1本
にんじん大1本
ホールトマト2缶
唐辛子1本
ローリエ3枚
1カップ
白ワイン1カップ
ミント5枝
塩・胡椒適量
オリーブオイル適量
ペコリーノ適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ハチノスは流水でよく洗ってから水を満たした深鍋に移し、酢、潰したにんにく2片、ローリエ2枚、香味野菜の端とともに下茹でします。
下茹でする時間は軟らかさ、歯ごたえ、独特の風味をどの程度残すかによってお好みで調整しますが、中火で2時間ぐらいが目安です。

下茹でしている間に香味野菜のソフリットを作ります。
にんにく、セロリ、玉ねぎ、にんじんをそれぞれみじん切りにします。
フライパンにオリーブオイルをたっぷりめに注いで、弱火でにんにくの香りを出してから他の野菜を加え中火で20分ほど炒めます。
炒めるといっても木べらで均等に拡げたら極力触らず揚げ焼きのようなイメージで、焦げないようにときどき木べらで混ぜ返すだけ。
野菜の水分だけをとばして繊維を壊さないよう野菜の旨みを閉じ込め、量が1/3ぐらいになって飴色になれば出来上がり。

下茹でが完了したハチノスは、火を止めて煮汁にひたしたまま放置して粗熱をとり、短冊状に切って、白ワイン、ソフリット、ローリエと共に鍋に入れて中強火にかけます。
水2カップ、ホールトマト、唐辛子を加えて30分ほど煮込み、ミントの葉を加えて塩胡椒で味を調整したら出来上がり。
深皿に盛ってミントを飾り、ペコリーノを削りかけていただきます。

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