2015年9月26日土曜日

Sarde all'anconetana 鰯のアンコーナ風

刺身で食べたくなるほどきらきら輝く旬のイワシを軽くトマトで煮て、パン粉をかけてオーブンで焼いた鰯のアンコーナ風。
アドリア海で揚がる小魚や甲殻類などのごった煮ブロデットが有名な、イタリア中北部マルケ州の郷土料理です。

マルケ州はブーツの形をしたイタリア半島の真ん中よりやや北東部分、ちょうどふくらはぎあたりに位置しています。
北はエミリアロマーニャ州、サンマリノ共和国、西側はアペニン山脈を境にトスカーナ州とウンブリア州、南はアブルッツォ州と隣接、東側はアドリア海に面しています。
海を隔てて100kmちょっと先の対岸はもうクロアチア。
アドリア海をぐるっと囲むようにイタリア側はヴェネト州、マルケ州、プーリア州など、そして東にスロベニア、クロアチア、モンテネグロ、アルバニア、ギリシャといった国家があります。
この地域一帯の料理に共通する特徴は、アドリア海で揚がる多種多様で豊富な魚介類はもちろん、魚介からとれる出汁の旨みたっぷりのスープにオリーブオイル、にんにく、香草の香りを調和させるところ。
魚介の出汁が利いた日本人好みの味でもあります。

アドリア海地方の味覚の典型でもあるマルケの料理は塩気がやや強くて味付けは濃いめ、こてこての漁師料理なのでちょっと田舎くささがありどこか懐かしい感じがします。
イタリア料理ではあまり洗練された料理というのは好まれません。
仮にそれが都市部の高級レストランで提供するような一皿であっても、どこかに田舎っぽいエッセンスがあるのが良しとされているんです。

今日の鰯のアンコーナ風は、青魚を使ってる時点でもう既に洗練された雰囲気からは遠ざかってしまってますよね。
日本でもイタリアでもそうなんですが、イワシのような青魚は白身の魚と比べて一枚も二枚も格下扱いされる庶民の食材。
沿岸部で容易かつ大量に漁獲されるのと、いかにも青魚らしい安っぽい感じの食味が品に欠けるからでしょうかねぇ。
その庶民的なイワシをさらにトマトで煮てるわけですが、イタリアではトマト煮込みといえば典型的な家庭の味。
どれだけ上品でお洒落に盛り付けしても洗練された料理にはならない、イタリア人好みのイタリア料理というわけです。笑

さて、マルケの料理にはマルケのワインを合わせたいですよね。
州都アンコーナからほど近いイエージ地区はミネラルを多く含む石灰質土壌、ここで栽培される土着品種ヴェルディッキオで作られるワインがこてこての漁師料理によく合います。

Ingredienti (per 4 persone)

マイワシ4尾
ホールトマト1缶
玉ねぎ中1/2個
唐辛子1本
ローリエ1枚
オリーブオイル大さじ3
にんにく1片
白ワイン大さじ1
塩胡椒適量
フェンネルシードひとつまみ
パン粉大さじ2
プレッツェーモロ5枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

マイワシはウロコがついていればとり、頭を落として腹を開いてワタを取り除き筒切りにします。
流水でよく洗ってから塩を多めにふってしばらく置きます。
イワシから水分が出てきますが、そのとき魚臭さも一緒に抜けるので、水でよく洗い流してから水気をふきとっておきます。

玉ねぎは薄くスライスし、にんにくはみじん切りに、フェンネルシードは包丁で細かく刻みます。

キャセロールにオリーブオイルを注いで弱火にかけ、にんにくと唐辛子を加えてにんにくの香りが立つまで炒めます。
玉ねぎを追加して木べらで少し炒めて、しんなりしたらワインを加え、中火にしてアルコール分を煮切ります。
ホールトマトとローリエを加えて10分ほど煮込みます。
イワシ、フェンネルを加えてさっと煮て、塩胡椒で味を調整したら火を止めます。

キャセロールのイワシの上にパン粉をかけてオリーブオイルを垂らし、180°に余熱したオーブンで10分ぐらい加熱します。
オーブンから取り出して、みじん切りのプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らせば出来上がり。
キャセロールごと食卓に出して取り分けながらいただきます。

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