2016年10月22日土曜日

Latterini Fritti in Carpione ワカサギのカルピオーネ

奥日光中禅寺湖産の釣りもののワカサギをフリットにして、香味野菜とともに甘酢に漬けた北イタリアは湖水地方の郷土料理カルピオーネ。
揚げたてのフリットにはレモンを搾ってまず一品、さらに南蛮漬け風に少し味を馴染ませたいカルピオーネも熱々の甘酢にじゅっと潜らせればすぐにワインのつまみになりますよ。

ワカサギといえば真っ先に思い浮かべるのが穴釣りですよね。
凍結した湖面に穴を開けて糸を垂らす光景は、北海道の網走湖や青森の小川原湖をはじめとする寒冷な湖水地方の冬の風物詩。
釣れたら氷の上に放っておき、その場で油を満たした鍋で天ぷらにして食べたりするのもワカサギ釣りの醍醐味です。
ワカサギは骨まで軟らかいしウロコも内臓もさほど気にならないので、下処理もせずに丸ごと揚げて軽く塩をふれば十分。
味は淡白で繊細この上なく、ただ微かに淡水魚特有の香りがあるので、焼いたりするより天ぷらや唐揚げにした方が断然旨いです。

穴釣りのイメージが強いだけに真冬の魚だと思われてしまっているワカサギですが、実は規制などがなければ一年中釣れる魚。
日光中禅寺湖ではワカサギ釣りが解禁となるのが9月から10月末までの秋の短い期間で、主にボートから釣ります。
その季節限定の中禅寺湖産ワカサギを栃木の知人が100尾も送ってくれました。
嬉しい悲鳴とはまさにこのことですね。笑
ワカサギは湖で釣れるので淡水魚として扱われることが多いんですが、本来は鮭や鮎などと同様に稚魚の頃に海に下って暮らし、産卵のために再び川や湖に上ってくる遡河回遊魚。
環境変化に対する適応性が高く漁業資源としても重要だったことから、人間が内陸の湖沼や人工のダム湖に移植してきたのが背景です。

さて、ワカサギは天ぷらや唐揚げのほかに南蛮漬けも定番ですよね。
南蛮漬けはその名の通り南蛮渡来の料理、地中海やアドリア海に面した南ヨーロッパ地域に見られる郷土料理で日本には江戸時代に南蛮貿易を通じてポルトガルから長崎に伝わったとされています。
イタリアでは南部のスカペーチェ、北はヴェネト州のサオール、そしてロンバルディア地方のカルピオーネなどがよく知られています。
ロンバルディア州はファッション都市ミラノのイメージが強いですが、ポー川流域には広大な米作地帯が広がり、北部山岳地帯はイタリア最大の湖であるガルダ湖、二番目に大きなマッジョーレ湖、三番目に大きなコモ湖などが連なる美しい湖水地帯としても有名。
鰻やマスなどの淡水魚を使った料理もこの地域ならではで、ワカサギのイタリア料理なら湖水地方の郷土料理カルピオーネが似合います。

Ingredienti (per 4 persone)

ワカサギ20尾
粗塩大さじ3
薄力粉適量
揚げ物用サラダ油適量
にんにく1片
玉ねぎ中1個
にんじん1/3本
セロリ1/4本
白ワインヴィネガー1/2カップ
ローリエ1枚
セージ1枝
砂糖小さじ1
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まずカルピオーネの甘酢ソースを準備します。
にんにくはみじん切りに、玉ねぎは薄くスライス、にんじんとセロリは細長く千切りにします。
小鍋にオリーブオイルをしいて香味野菜を炒め、焦げやすいにんにくやローリエ、セージは途中で加えます。
野菜がしんなりしてきたら白ワインヴィネガー、それと同量の水を加え少し煮込んで塩胡椒と砂糖で味を調整します。

ワカサギは粗塩をふって軽くこすり鱗や汚れを洗い流します。
内臓を出したりする必要もなく水気をきったらそのまま下味もつけずに小麦粉をまぶし、粉をよくはたいてから油で揚げます。
からっと揚がったら新聞紙などにとって油を切ります。
ロメインレタスを敷いた皿に揚げたての魚を小高く盛り付け、レモンをきゅっと搾って岩塩を削ればワカサギのフリットの出来上がり。
これでワインを飲みながら調理を続けられますね。

皿にカルピオーネソースの香味野菜を敷きます。
揚げて油を切ったワカサギを熱々のソースにくぐらせてから皿に並べ、上からソースをまわしかければカルピオーネも出来上がり。
すぐに食べてもいいし、少し漬けて味がしみればなお美味です。

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