2016年10月8日土曜日

Sarde Marinate con Salsa Ravigote 鰯のマリネ ラヴィゴットソース添え

とろとろに脂が乗った旬のイワシをマリネにして、ちょっとフレンチの香り漂うラヴィゴットソースを添えた秋のアンティパスト。
イワシの脂っこさをソースの酸味や辛味がうまく中和してくれるので、青魚にしては上品な味に仕上がっています。

秋は青魚がとびきり美味しい季節ですね。
秋刀魚も戻り鰹も秋鯖も、夏の間に活発に餌を食べてまるまると太り、皮下脂肪をたっぷり蓄えて食べ頃を迎えています。
イワシは年間を通して入荷がありますが、夏から秋にかけてが旬だとか入梅イワシが最も美味だとか、旬の時期については諸説あります。
実はイワシは群れによって産卵期がまるで違う場合があり、一般的にはオフシーズンとされる真冬や春先にもまるまると太った個体を見かけることがあります。
ただ、夏場にたっぷり餌を食べて秋を迎えているのは間違いないので、他の青魚同様この時期のものは紛れもなく美味しいですね。

さて、10月 4日はイワシの日だそうですが、そう制定された1980年代には国内の年間総漁獲量が1200万トンほどだったのに対し、イワシの漁獲量が400万トン前後もあったそうです。
仮に獲れた魚がすべて鮮魚として魚屋さんの店頭に並ぶと仮定すると、実に売場の1/3がイワシで占められる計算になるわけで、どれだけ大量に獲れてたかって話です。
そんなかつての大衆魚の象徴も近年はピーク時の 1/20から 1/100程度の漁獲量まで激減してしまい、高級魚の仲間入りをする日も近いとまで言われるようになりました。

イワシが獲れなくなったのは乱獲や環境破壊が原因ではないかとずっと考えられてきましたが、最近ではレジームシフト=魚種交代によるものというのが定説になりつつあります。
これは、地球規模での気候変動が長期的かつ大きなうねりのサイクルで繰り返されていて、海水温度の変化やプランクトンの発生状況しいては水産資源の漁獲量が影響を受けて大きく変動するというもの。
そしてこの影響を顕著に受けるのが、卵が成魚にまで育つ生残率が低いため大量に産卵するタイプの魚で、イワシやアジ、サバ、サンマなどの青魚がこれに該当するというわけです。
ある年にある魚種が環境変化に対して他の魚種よりも高い適応性を示し生残率が飛躍的に高まったとすると、もともとの産卵量が多いだけに、成魚が爆発的に増えます。
一旦増えてしまうとその世代が産卵する卵の絶対数が膨大であるため、通常の生残率でもボリュームが維持され、次の世代も同様という状態がしばらく続くようになります。

ある魚種が増えると他の魚種が減り、これが収束すると次は別の魚種が台頭するというサイクルが数十年の周期で繰り返される魚種交代説は、日本の学者が国連主催の専門会議で初めて発表しました。
この仮説によると現在好調のアジが今後は減少に転じ、代わってサバが大漁時代を迎え、イワシは底打ち反転上昇に向かうと言われています。
実際、2016年はイワシが前年比2倍ペースで獲れているそうですよ。
代わりに何かが減るのは残念ですが、美味しいイワシが食卓に乗る日が増えるのは嬉しい限りですね。

Ingredienti (per 2 persone)

マイワシ大3尾
にんにく1片
粗塩大さじ3
白ワインヴィネガー1/2カップ
オリーブオイル大さじ3
ローリエ1枚
per la Salsa Ravigote
トマト中1個
玉ねぎ中1/2個
セロリ少量
アンチョビ1/2尾
塩漬けケイパー大さじ1
白ワインヴィネガー大さじ1
オリーブオイル大さじ1
プレッツェーモロ5枝
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

イワシは頭を落として腹を開きワタを取り除いて流水で洗います。
薄皮を剥いて両面にたっぷりの塩をふり30分ほど冷蔵庫で〆めます。
イワシから水分が出てきますが、そのとき魚臭さも一緒に抜けるので、水でよく洗い流してから水気をふきとり、塩抜きを兼ねてヴィネガーに10分ほど漬けます。
漬け汁を捨ててイワシの身を洗わずにオリーブオイルを注ぎ、にんにくのスライスとローリエを加えてオイル漬けにして馴染ませます。

イワシを冷蔵庫で馴染ませている間にソースを準備します。
トマトは湯剥きして賽の目に切り、玉ねぎとセロリ、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、塩漬けケイパーはぬるま湯にひたして塩抜きしてから細かく刻みます。
ボウルでアンチョビをスプーンの背で潰し、刻んだ野菜とヴィネガー、オリーブオイルを加えて混ぜ合わせ、塩胡椒で味を調えます。
材料に決まりはなく、手に入ればエシャロットを使うといいです。

イワシを皿に盛って黒胡椒を挽きかけ(脂が乗っているのでしっかりめに挽いた方が美味)、ソースを乗せれば出来上がり。

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