2016年11月26日土曜日

Crostini con Baccala Mantecato バッカラマンテカートのクロスティーニ

茹でて身をほぐした塩鱈の切身にオリーブオイルを少しづつ加えながらペースト状に練り上げたヴェネチアの郷土料理バッカラマンテカート。
本来はストッカフィッソという干し鱈を水で戻して作られる立飲み屋の定番おつまみ、ソアーヴェのお供に鉄板すぎる一品です。

近頃めっきり寒くなったと思ったら各地で早くも初雪が降りましたね、11月の都心の降雪は54年ぶり、積雪はなんと観測史上初だそうです。
でも、寒くなると美味しくなるものもいろいろありますよね。
タラもそのひとつ、鍋ものなどで美味しいですよねぇ。
魚編に雪という字をあてる鱈は読んで字のごとく真冬が旬の魚。
北海道やロシアといった北の冷たい海の深場に住み、同じ海域で獲れるタラバガニ(鱈場蟹)の語源にもなっています。

タラは温かい地中海には生息していないためイタリアでは鮮魚のタラが水揚げされることはないですが、北大西洋に面した北欧のノルウェーで獲れたマダラの仲間(タイセイヨウダラ)を干した加工品が輸入され、これがあたかも昔からの伝統的なイタリア食材であるかのように定着し北から南までイタリア中で食べられています。
乾物=保存食品ということで内陸や山間の地域で重宝されてきたほか、新鮮な魚がいくらでも獲れるナポリやヴェネチアのような港町でさえもこのタラの加工品を使った伝統料理が存在します。

普通の干し鱈がストッカフィッソでがっつり塩漬けにして干したものがバッカラ、イタリア料理では後者の方がおなじみです。
鮮魚のタラはイタリア語でメルルッツォといいますが、バッカラの方が知名度があるのでメルルッツォの料理でもバッカラのなんちゃらという名前で呼んだ方が通じやすいかも。
このバッカラマンテカートもストッカフィッソを使っているのに名前はなぜかバッカラマンテカート。
かちかちの干し鱈を何日もかけて水で戻してから茹でて身をほぐして、骨や皮を除いてもう一度茹で汁に戻して火にかけ、木べらで混ぜながら水分を飛ばしオリーブオイルを少しづつ加えながらマンテカーレ(よく混ぜてクリーミーに乳化した状態にすること)して作ります。
牛乳や生クリーム、じゃがいもなどを加えて作るレシピもありますが、古典的なレシピではオリーブオイルだけで練っていきます。
(今日は牛乳を少しだけ加えて作っています)

さて、乾物であるバッカラ(またはストッカフィッソ)は季節を問わず料理に使われる食材ですが、イタリアではクリスマスイブの日は厳かにキリスト生誕を待つという理由で肉を食べない日とされバッカラ料理が欠かせないことから、バッカラは冬を連想させてくれる食材。
産地で冬に獲れたタラを寒風干しにして出荷するため、マーケットでも冬になると取扱量がぐんと増えるようです。
主に塩鱈を使って作る日本のイタリアンレストランでも焼きポレンタに乗っけたバッカラマンテカートが冬の前菜として出されたりします。
家庭ではもっと手軽に炙ったパンに乗せたクロスティーニがお勧め。
クリスマスのホームディナーの前菜に一品いかがですか。


Ingredienti (per 6 persone)

塩ダラ300g
タラの煮汁2カップ
にんにく1片
牛乳大さじ3
オリーブオイル1/2カップ
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ10枝
バゲット2本

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

塩ダラの切り身は流水で軽く洗ってから鍋に置き入れ、ひたひたの水と塩少々を加えて中火にかけ沸騰したら弱火にして中まで火を通します。
火を止めてそのまま粗熱がとれるまで置いておき、切り身を取り出して身をさっとほぐし、皮と骨を取り除いて鍋に戻します。
中火で水分を飛ばしながら煮ていき、煮汁に溶け出たタラの旨みも全部凝縮させていきます。

水分がぐっと減ってきたら火を弱くして牛乳を加え、オリーブオイルを少量づつ加えながら木べらで身をつぶすようにかき混ぜるということを繰り返し、ペースト状に練っていきます。
途中ですりおろしたにんにく、塩、黒胡椒を加えて味を調整します。
主菜ではないので塩味はしっかりめにつけます。
煮詰めすぎたお粥のようになめらかになったらバッカラマンテカートは出来上がり、火を止めて粗熱をとります。

グリルパンを熱してスライスしたバゲットを炙って焦げ目をつけます。
焼いたバゲットにバッカラマンテカートをこんもり乗せて胡椒を挽き、粗みじん切りにしたプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らせばクロスティーニの出来上がり。
冷えたソアーヴェのお供にどうぞ。

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