2017年1月28日土曜日

Soffritto Napoletano ( o Zuppa Forte ) ぴり辛豚もつ煮込みソフリット

豚の胃や腸などいろいろな部位のもつを唐辛子のきいたトマトソースでとろとろに煮込んだ、辛い(強い)スープ=ズッパフォルテという別名もあるナポリの冬の風物詩ソフリット。
大きな鍋でソースたっぷりに仕込んでおいて、旨みが溶け出たソースでパスタも作っちゃう一石二鳥なところが南イタリア流です。

ナポリ料理というと色鮮やかな原色系で、外国人とりわけ私たち日本人が漠然と抱く典型的なイタリア料理のイメージそのもの。
トマトやオリーブオイルやモッツァレッラ、魚介類をふんだんに使ったカラフルなパスタやピッツァは、さんさんと照りつける夏の太陽の下で陽気におしゃべりしながら食べるのがよく似合いますよね。
古くから南イタリア屈指の貿易港として栄えたナポリには、近郊の町や村から産直品が集まってきました。
ナポリ湾では新鮮な魚介類が豊富に獲れるし、湾を南側から包んでいるソレント半島や南部の広大なサレルノ地方から良質のオリーブオイルや土着ワイン、サンマルツァーノ、ブファラ、ソットサーレのアリーチやコラトゥーラなど、そして乾燥パスタの生まれ故郷グラニャーノからはスパゲッティ、といった感じです。
カンパーニャ州の美味しいもの集大成がナポリ料理なんですね。

なんだか魚と農産物ばかり食べているようにも聞こえますが、ナポリの人はあまり肉は食べないんでしょうか。
いえいえ、イタリアも他の欧州諸国同様れっきとした肉食文化の国。
ゲルマン系が多い北イタリアはもちろん、魚介や野菜をたくさん食べる南イタリアもそれは同じで、ナポリのような海に面した港町であっても魚より肉を食べる方が断然多いんです。
伝統的な郷土料理だって、ナポリ風ラグーにブラチョーレ、イスキア風うさぎの煮込み、サルシッチャとフリアリエッリなど多数あります。
そして、貧しかった時代には安い内臓を使った料理も生まれました。
食肉処理場で働く人々が豚の内臓をラードで炒めて、唐辛子やトマトで煮込んで食べていたのがこのナポリ風ソフリットです。
ソフリットってもしかして香味野菜をじっくり炒めたアレのことでは、と思った方はボロネーゼなどの仕込みをしたことのある方ですね。
油で揚げる(もしくは揚げもの)という意味のフリットにソがつくと、ひたひたのオイルで揚げ焼きのように調理すること、もしくは香味野菜のみじん切りをそうやってペースト状になるまで調理したものを指し、後者はラグーのような煮込み料理に欠かせない旨みの素となります。
もつ料理の方のソフリットはナポリのローカルな呼称ですが、たっぷりのラードで内臓を炒め煮のようにソフリットするのが語源。
紛らわしいので後ろにナポレターノをつけて呼称します。

ソフリットナポレターノはもつの臭み消しのため唐辛子を使います。
イタリア人は辛いものが苦手な人が多く、そもそもイタリアに辛い料理というものはあまりないんですが、これはイタリア料理ではめずらしいぴり辛のもつ煮込み料理。
辛いのでまたの名をズッパフォルテ(強いスープ)とも呼ばれます。
辛い料理は夏に大汗をかきながら食べるというイメージもありますが、唐辛子の成分が身体を温めてくれるのでイタリアでは冬の料理です。




Ingredienti (per 10 persone)

豚の内臓(胃、腸、レバー等)1kg
ホールトマト1缶
玉ねぎ中2個
オリーブオイル適量
ローリエ3枚
ラード50g
唐辛子3本
白ワイン1/2カップ
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ5枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

豚の内臓は部位によってそれぞれの下処理をしますが、通常はしばらく塩水につけて臭みを抜き、レバーは牛乳に少々つけます。
下処理した内臓はひと口大に切り分けます。
玉ねぎはみじん切りにします。

深鍋にオリーブオイルをしいて玉ねぎを炒め、しんなりしたらラードを加えて内臓を色が変わるまで炒め、最後にレバーを加えます。
水とローリエを加えて30分ほど煮込みます。

白ワイン、ホールトマト、唐辛子を加え塩胡椒で味を調整して蓋をしてさらに30分以上煮込んでもう一度味を調整します。
皿に盛ってプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らし、お好みでチーズを削りかければ出来上がり。

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