2017年3月11日土曜日

Fritto di Mare e Verdure Primaverili 春の魚介と山菜のフリット

春が旬の食材のうちとりわけフリットで美味しいものばかりを香ばしく揚げて、ちょっとづつ盛合せにした魚介と山菜のフリットミスト。
レモンをきゅっと搾って桜色の岩塩をつけて口に運べば、優しい苦味や甘みが口の中にひろがる春のアンティパストです。

日本とイタリアはともに国土が南北に細長く、四季がはっきりしていて食においても季節感を大事に考えるところがよく似ています。
季節を感じる食材というと、春の子羊や晩秋のジビエなどのように肉もないわけではないですが、やはり季節によって獲れるものが明確に違う魚介や野菜は季節感に溢れたものがたくさんあります。
春夏秋冬それぞれの季節がめぐるなかで、とりわけドラマチックなのが暗くて長くて寒い冬の次にやってくる春の訪れ。
今日はそんな春食材のうちフリットで美味しいものたちが主役です。

まずは魚介から、フリットにするなら外せないのがヤリイカ。
刺身も抜群に旨いですが、加熱してもスルメイカみたいに硬くなったりぱさついたりせず、適度にぱつんとした歯ごたえがあって、しっとりと軟らかくて甘みがあるのが特徴。
薄めに粉をはたいてあまり火を通し過ぎない程度にからっと揚げれば、白い泡の飲物が確実に止まらなくなります。笑
春の魚介といえば貝類も外せませんよねぇ、そこで今日のもうひとつが江戸前のかき揚げの具材に使われる小柱。
帆立の稚貝とかではなくアオヤギという別の貝の貝柱のことです。
江戸前天丼に乗っけるかき揚げにはこの小柱が不可欠で、代わりに帆立を使ってもあの味にはならないと言われるほどのキープレイヤー。
フリットでも美味しいのは当然で、粒が小さいので溶いた衣でまとめて文字通りかき揚げみたいにして揚げます。

一方で、春の野菜類では天ぷらなど揚げて美味しいのはなんといっても油と相性のいい苦みのある山菜やたけのこなど。
タラの芽なんかも美味しいんですが自生するものの旬はもう少し先で、今の時期なら比較的早くから出回るふきのとうが適役です。
花芽をまわりから包んでいるガクのような部分を少し開いてあげると、揚がったときにふんわり花が咲いたようになって見栄えもいいし、あの独特の苦みで条件反射のように春を感じてしまいます。
そしてもうひとつがたけのこ、ではなく筍に外見も食感も味も似ているカルチョーフィ(アーティチョーク)。
こちらはイタリア人が条件反射で春を感じてしまう食材でしょう。
先日パスタにも使ったのですが、ローマ料理で有名なカルチョーフィのユダヤ風という料理が実はカルチョーフィを油で揚げたもの、もちろん普通にフリットで美味しくないわけがありません。

素材ごとに衣のつけ方などは少し変えていますが、食べ方は全部同じでレモンを搾ってシンプルに塩と胡椒だけで食べます。
揚げものは発泡性の飲物と相性がいいのでビールやスプマンテのお供にぴったりだし、もちろん普通にすっきり味の白ワインも合いますよ。




Ingredienti (per 4 persone)

ヤリイカ(雌)2杯
小柱100g
ふきのとう150g
カルチョーフィのオイル漬け200g
薄力粉適量
ビール(または炭酸水)適量
サラダ油適量
レモン1/2個
プレッツェーモロ3枝
岩塩適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ヤリイカはわたを掃除して水洗いし、薄皮を剥いて輪切りにします。
薄力粉と塩少々をビールなど炭酸水でさっと溶いておきます。

揚げる順番は最初に低温で野菜、次に油の温度を上げて魚介です。
サラダ油を160℃に熱します。
ふきのとうを溶いた衣に浸してかりっと揚げます。
オイル漬けのカルチョーフィは粉を薄くはたいて揚げます。

油の温度を180℃ぐらいまで上げます。
ヤリイカは粉を薄くはたいてぷりっと揚げます。
あまり火を通し過ぎない程度に揚げた方が美味です。
小柱は溶いた衣をつけたらレードルですくい、ばらばらにならないようかき揚げのように揚げます。

皿に盛って魚介にプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)のみじん切りを散らします。
桜色の岩塩と胡椒を混ぜたものとレモンを添えれば出来上がり。

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