2017年8月5日土曜日

Insalata di Pesca Bianca con Burrata 桃とバジリコの前菜 ブッラータ添え

甘い香りが止まらない旬の白桃にバジリコの葉をアクセントに散らしてミルキーでフレッシュ感溢れるブッラータを添えた、ドルチェとしても通用しそうな桃の冷たいサラダ仕立ての前菜。
晩夏に短い旬を迎える桃は祭りのあとの静けさのようにちょっと儚くて切ないイメージ、行く夏を惜しみながらいただきたい一皿です。

今年はようやく梅雨明けしたかと思えば台風接近の影響で梅雨に逆戻りしたかのような不安定な天候が続いています。
海に山にと遊びに出かけるのを楽しみにしていた子どもたちはちょっと残念ですが、早くまた夏らしい天気が戻ってくるといいですよね。
どんなに暑さが厳しくてもやっぱり夏は夏らしい方がいいですもんね。
とはいえ8月7日は立秋なので暦の上ではまもなく秋。
立秋を過ぎたら書中見舞いの挨拶も残暑見舞いになるんでしたよね。
夏が来る前から今年の夏はあれをしたいこれもしたいと考えてたのに、こんな天気が続いてまだあれもこれもできてないうえに、もうすぐ夏も終わりで秋ですなんて言われるとなんか切なくなりますよね。笑

さて、果物のサラダというと日本ではあまりなじみがないかもですが、今日は夏が旬の桃をメインに使った冷たいサラダ仕立ての前菜。
見ためも涼しげで夏に相応しい一品ですよね。
そんな夏の果物の代表のような桃なんですが、意外にも俳句の世界では夏ではなく秋の季語とされているんですね。
確かにスイカやパイナップルのように明るい真夏の陽射しが似合うとかはじけるようなイメージはなく、残暑の頃に最盛期を迎えるというのもあってちょっとセンチメンタルな雰囲気が桃にはあります。
お盆の頃やもの悲しいヒグラシの鳴き声(どちらも秋の季語)なんかが似合うし、もうすぐ夏も終わりなんだなぁというイメージも重なって、ちょっと感傷にひたりたくなってしまいます。
残暑=立秋を過ぎたら暦の上でも俳句の世界でも秋なんですね。

桃はもともと中国が原産で、古くは縄文時代の遺跡から種が見つかっているそうですが、現在流通している桃のほとんどは明治時代に伝わった水蜜桃系という種類がルーツになっています。
そこから現在のようにみずみずしくて甘みも濃く見た目も美しい白桃を作り上げてこれたのは、いかにも日本らしい繊細な感性ときめ細やかで優れた技術で品種改良を重ねてきたから。
日本の桃は今や世界に誇れる芸術品なんです。
桃の栽培には周囲を山々に囲まれ降雨量が少ない盆地が適しているそうですが、桃の産地といえばまず浮かぶのが桃太郎伝説の残る岡山県。
桃だけでなくマスカットなどでも有名な西のフルーツ王国です。
ただ知名度のわりに生産量はさほど多くなく、生産量日本一は山梨県で二位の福島県とあわせて国内シェアの過半数を占めます。
山梨も福島も名実ともに日本を代表するフルーツ大国ですもんねぇ。
西日本で上位にランクしているのは和歌山県が目立つ程度で、長野県や山形県といった東日本の各県で生産量が多くなっています。
一方、世界では生産量断突一位の中国を除けば、南ヨーロッパの地中海諸国が上位を占めています。
そしてイタリアは実は世界第二位の桃の生産国なんですよ。
イタリアの桃は白桃系ではなくネクタリン系が中心で、水分は少なめで酸味があるので加熱してコンポートやタルトなど菓子の材料にしたり、搾ってジュースにしたりする方が一般的。
日本とは品種も違うし食べ方や位置付けもちょっと違います。

そういう意味では今日のように生の白桃のサラダ仕立てにブッラータを添えた前菜というのはどストライクに日本人(とくに女子)好みだし、いかにも日本的な発想の和製イタリアン。
桃とブッラータの相性は官能的なほど抜群に良く、蜂蜜なんかをかけてドルチェにしても美味しそうですよねぇ。
いずれにせよ、夏は夏でも残暑の頃にいただく甘くて切ない桃の味は、終わりが近い夏への未練をかきたててくれますね。


Ingredienti (per 4 persone)

2個
バジリコ4枝
ブッラータ80g
オリーブオイル適量
レモン1個
岩塩適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

桃は硬ければ香りが立つまで室温で追熟させます。
冷蔵庫で冷やして皮を剥いて切り分けたら、すぐにレモンを搾りかけてバジリコの葉と一緒に皿に並べ、岩塩を満遍なく削りかけます。

ブッラータとは、ストラッチャテッラ(モッツァレッラを細かく裂いて生クリームと混ぜ合わせたもの)を薄く伸ばしたモッツァレッラの皮で巾着のように包んだプーリア州の特産品。
そのブッラータの中身(ストラッチャテッラ)をスプーンですくって、桃のサラダのまん中に乗せて塩を少々ふります。

仕上げにオリーブオイルを満遍なくまわしかけ、黒胡椒を挽きかければ出来上がり。

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