2017年10月7日土曜日

Insalata di Tonno e Fagioli Cannellini ツナと白いんげん豆のサラダ

イタリアの家庭で夏から秋にかけてよく食卓に並ぶ副菜のひとつがこの白いんげん豆とツナと赤玉ねぎをオリーブオイルで和えたサラダ。
見た目は地味ですが一度食べれば白いんげん豆とツナの相性が良すぎてやみつきになる定番の一皿、今日は豆を鶏のブロードでことこと炊いて秋らしく滋味深い味わいに仕上げた秋仕様です。

イタリア料理といえば原色カラーのトマトやバジリコを使ったパスタやピッツァ、新鮮なタコやイカやムール貝などの魚介料理、ハムやチーズの前菜に豪快な肉料理といったものをイメージしますよね。
私たちにとってイタリア料理は多くの場合たまに行く特別な外食。
ならば必然的に視覚的にも食欲をそそりインパクトがあって記憶に残る料理を期待してしまうので、あまり普通っぽくて地味な料理には興味をそそられないかもしれませんね。
その点、イタリア料理ではあるけど豆料理は前菜の盛合せにちょこっと乗っていたり、メイン料理の付合せ=コントルノでとったりと、あまり印象に残らない地味な存在。
典型的な家庭料理なのでわざわざお店に行って食べるものでもないから余計にそう感じるのかもしれませんが、家庭的なイタリアの味の本領はむしろこういうところにあります。
イタリア人は私たちが思ってる以上に豆をよく食べます。
とりわけトスカーナ州の人は豆をよく食べることで知られていますが、トスカーナに限らずイタリア全土でいろんな種類の豆が食べられます。

日本でいちばんなじみ深い豆といえば大豆ですよね。
大豆そのものの定番料理というと煮豆ぐらいしか思いつかないですが、もやし、枝豆、納豆などと形を変えて食卓に登場したり、醤油や味噌、豆腐に油揚げに厚揚げ、きな粉、豆乳など加工品の原料でもあるので、毎日なにかしらは口にしている日本人の食生活に欠かせない存在。
最近では日清カップヌードルに入っている通称謎肉の原料が大豆であることがメーカーから発表されたりしましたが、たんぱく質を豊富に含むことから畑の肉と呼ばれたり、貧しい時代には肉の代わりのたんぱく源だったり、肉や魚が禁忌とされる精進料理でもおなじみです。

西洋では大豆は主に搾油用なのであまり食用にしませんが、大豆以外の豆は日本で食べられているものと種類もほとんど変わりません。
イタリアでは乾燥豆ではいんげん豆はもちろん、ひよこ豆、レンズ豆、生鮮豆では未熟な豆を初夏に収穫するえんどう豆(グリーンピース)やそら豆、鞘付きで食べるさやいんげんなんかもよく食べられます。
ひよこ豆はズッパ(スープ)にしたり、粉に挽いて薄い生地に成形して焼いたり揚げたりするリグーリア料理やシチリア料理もあります。
レンズ豆は豚肉と一緒に煮込んだりピュレにしたり。
グリーンピースはパスタリゾットの具に、そら豆は生でペコリーノと一緒に食べたりプーリア州のそら豆のピュレも有名です。
しかしなんといっても世界でいちばん食べられている豆がいんげん豆。
たんぱく質を豊富に含み貧しい時代に肉に代わるたんぱく源だったのは日本の大豆と同じです。
イタリアではカンネリーニと呼ばれる白いんげん豆がポピュラー。
いんげん豆と相性のいいセージやトマト、豚肉と一緒に煮込んだもの、豆のズッパがソースになるパスタエファジョーリなんかが定番です。
ほっこりと沁みる田舎っぽい料理ばかりですねぇ。

さて、白いんげん豆とツナはとても相性が良く、今日のようなサラダはイタリアの家庭では定番中の定番。
普通過ぎて派手さはないけど一度食べてみるとよくわかります。
その際、ツナ缶は安い量販品のフレークではなく、ちょっとお高いけどソリッド(断面が木の切り株みたいなタイプ)を是非使ってください。
仕上がりとツナそのものの存在感が全然違います。
そして今日はただ豆を煮たのではなく、たまたまあった鶏のブロードで炊いているので豆に旨みがぎゅっと詰まっています。
鶏の出汁は滋味深く秋らしい味わい、さっぱりとした夏の定番サラダもこのひと手間で秋仕様に衣替えです。


Ingredienti (per 4 persone)

乾燥白いんげん豆200g
ツナ缶(ソリッド)90g
赤玉ねぎ1/2個
オリーブオイル大さじ3
ローリエ1枚
ローズマリー1枝
鶏のブロード2l
プレッツェーモロ5枝
適量
黒胡椒適量
レモン1個

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

乾燥いんげん豆は前日から水にひたして一晩置き戻しておきます。
鶏のブロードは鍋料理などに使う鶏がらスープなどでよく、今日は鶏の手羽元1kgを40分ほど煮た煮汁を使っています。
これで美味しい鶏スープがとれ、骨から身がほろっと離れて食べやすく身の味も十分あって(出汁は身よりも骨から出るため)美味しい水炊きや鶏鍋料理になります。

戻した豆はザルにあけて水を切り、深鍋に移して鶏スープとローリエ、ローズマリー、塩少々を加えて火にかけ、沸騰する前にごく弱火にして蓋をして40分(硬め)から1時間(軟らかめ)ほど煮ていきます。

赤玉ねぎは縦にスライスして水にさらしておきます。
粗熱のとれた豆を穴あきレードルですくってボウルに移し、赤玉ねぎ、ツナ、オリーブオイル、塩、胡椒を加えてよく混ぜ合わせます。
夏向き用ではワインヴィネガーも少々加えてさっぱりと仕上げますが、秋仕様は仕上げのレモンのみで鶏の出汁のほっこり感を強調します。

皿に盛ってプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を粗くみじん切りにしたものを散らし、櫛切りのレモンを添えれば出来上がり。

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