2017年10月28日土曜日

Risotto ai Funghi e Formaggio 和みリゾットと丹波しめじのリゾット

イタリア米のカルナローリと国産米を交配してできた「和みリゾット」という新品種の米を香味野菜のソフリットや存在感のある丹波しめじとともに鶏のブロードで炊いた秋のリゾット。
大粒の米がきのこと鶏の出汁を吸ってふっくらとしたところにチーズをたっぷり混ぜ込んだ、三つの旨み成分が渾然一体となった一皿です。

秋という季節を表現するのに、よく私たちの行動と紐づけて食欲の秋やスポーツの秋、読書の秋、芸術の秋などといいますよね。
夏は暑くていろいろやる気がおきなかったけど、清々しい気候になって気持ちも新たに何かを始めようとか、夜が長いのでじっくりと集中して何かに取り組めるとか、どれも肯定的なニュアンスの表現です。
いずれにせよ秋は絶好の行楽シーズンでもあり、爽やかな秋晴れが続くというイメージも強いんですが、実際には秋雨前線が長らく停滞したり台風が頻繁に襲来するなど梅雨よりもむしろ雨が多い季節。
イメージとのギャップが大き過ぎてちょっと意外ですよね。

雨が続くとよく地面や木の根元などからきのこが生えてきます。
きのこが秋の味覚とされているのは気温と雨の多さががきのこの発生に適しているからなんです。
このことも秋=多雨を象徴しているといえますね。
今日のきのこはブナシメジと形がよく似ていますが、大きさはそれよりひとまわり大きくて見栄えがする丹波しめじというきのこ。
京都のタカラバイオという企業が「大粒丹波しめじ」の名で商品化した学名ハタケシメジのことで、人工的に栽培するのは困難と言われていた今から15年ほど前に人工栽培と量産化に成功したものです。
同社はさかのぼること半世紀前には今やおなじみのブナシメジの栽培を世界で初めて成功させたスーパーバイオ企業。
ブナシメジといえば今ではあたりまえのように日々の食卓に上る定番の栽培きのこだけに同社が果たした功績は計り知れないですね。
丹波しめじはその大きさだけでなく、加熱しても形が崩れず歯ごたえもしっかりしてるので、鍋料理や煮込みなどに向いています。
もちろんリゾットにしても美味しいですよ。

リゾットは見た目は日本の雑炊にも似てますが、米をバターやオイルで炒めてブロードで炊いた伝統的なイタリアの米料理。
とりわけ北イタリアはポー川流域の米どころの地域で好んで食べられる料理ですが、日本の雑炊と違うのは炊いたご飯ではなく米から作るのとパスタと同様ほんの少し芯が残ってるような硬さ=つまりアルデンテに仕上げるのが良しとされます。
一汁三菜をおかずに白飯を食べてきた日本人にとって、ふっくら艶々に炊けたご飯はそれだけで十分ご馳走なわけですが、そんな日本人の嗜好に合っているのはコシヒカリやあきたこまちに代表されるような粘り気があり炊飯に適したタイプの米。
それでリゾットを作ろうとしても、粘りが出て糊状になってしまったりなかなかアルデンテに仕上がらないということになります。
リゾットに適しているイタリアのカルナローリ米は一粒一粒が大きく、スープをよく吸うのに形崩れしにくく粘り気が少ないのが特徴。
日本の気候では育ちにくいため国内ではあまり生産されていませんが、国産米と交配させることで双方の長所を受け継いだ日本でも育てやすい新品種が開発されたというわけです。

さて、日本料理では伝統的に乾物などで出汁をとり出汁の旨みで料理を味わいますが、これは諸外国には見られない日本独特の繊細な食文化で和食が世界遺産に指定されている由縁でもあります。
出汁の御三家といえば昆布、鰹節や煮干し、干し椎茸。
旨みの成分は各々グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸で、これらは三大旨み成分と呼ばれています。
出汁は単独で使うよりも混ぜて合わせ出汁にすることで相乗効果を生み、さしずめ旨みの掛け算のように何倍にも増幅します。
今日のリゾットは色味に欠け華やかさがない地味な印象ですが、チーズのグルタミン酸、鶏出汁からはイノシン酸、きのこに含まれるグアニル酸という三大旨み成分が渾然一体となった日本人好みの一品です。

Ingredienti (per 2 persone)

米(和みリゾット)1合
丹波しめじ150g
にんにく1/2片
玉ねぎ1/2個
オリーブオイル大さじ3
鶏のブロード1l
バター30g
パルミジャーノ30g
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ5枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

きのこは石づきをとって1本づつばらしておきます。
にんにくと玉ねぎはみじん切りに、チーズは粉状に削っておきます。

鶏のブロードはもちろんきちんととってもいいのですが、水炊きなどの鍋料理をする際に鶏がらスープを多めにとっておいてそれを流用すると一石二鳥で楽ですよ。
(※ 鶏がらスープの素みたいなのは全然香りがないので使えません)

深鍋にオイルをしいて中火で玉ねぎとにんにくをソフリットします。
玉ねぎがしんなりしたら丹波しめじも加えて炒めます。
米は洗わずにそのまま加えて木べらで混ぜながら炒め、米が透き通ってきたら鶏のブロードを注ぎ入れます。

鍋底が焦げ付かない程度にときどきかき混ぜ、スープを継ぎ足しながら15分ほど炊いていきます。
スープがなくなったら熱湯を継ぎ足します。
米に若干芯があるぐらいの状態で火を止め、バターとパルミジャーノを加えてさっくり混ぜてから塩胡椒で味を調整します。

数分休ませてからスープ皿に盛り付け、オリーブオイルをまわしかけて粗みじん切りのプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らし、胡椒を挽きかければ出来上がり。

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