2018年1月27日土曜日

Carpaccio di Pesce Balestra ウマズラハギのカルパッチョ 肝のソース添え

寒の季節に肝が肥えて旬を迎えたウマズラハギを薄く削ぎ切りにして、肝のソースを添えていただくウマズラハギのカルパッチョ仕立て。
フグにも例えられるその食味は歯ごたえがありどこまでも上品で淡白、まったりと濃厚な海のフォアグラ=肝のソースがさっぱりした身の味をぐっと引き立てます。

今日の食材はウマズラハギという魚。
あまり聞いたことがないという方もいるかもですが、ウマズラハギとはフグ目カワハギ科の魚=つまりフグやカワハギの仲間。
魚体はカワハギのように横幅がなくて薄っぺらい形で、カワハギよりも胴長で目の位置が後方にあるため馬の面みたいだからウマズラハギ。
魚体の色はカワハギが褐色のまだら模様なのに対して、ウマズラハギはやや青っぽい色をしています。
ディズニー映画のファインディングニモに登場するドリーに似てなくもないので想像してもらえばイメージがわきやすいでしょうか。

本カワハギはもともと漁獲量が少ないうえトラフグにも劣らない食味と冬に肥大する肝がこのうえなく美味であることで、昔から高級魚として名を馳せてきました。
一方で、たくさん獲れるウマズラハギは鮮魚ではなく剥き身の加工品で流通するなど、カワハギよりかなり格下の扱いを受けてきました。
ただし、食味はカワハギとほとんど区別がつかないため、頭を落として高価なカワハギとして売られたり、フグの代用品としても通用するなど食べて美味しい魚であることは以前から証明済。
肝が美味しいのもカワハギと同じで肝の大きさはカワハギよりも上。
供給量が安定していることから扱いやすく、近年になって評価が上昇、冬場の活〆めや活魚はかなりの高値で取引されるまでになりました。

カワハギもウマズラハギも、一年を通して身の味はさほど変わらないとされていますが、旬はやはり肝が大きくなる冬。
この時期は肝の大きさで値段が決まるとまで言われていて、まったりとして濃厚な肝の味は海のフォアグラとも評されています。
肝の食べ方、使い方にもいろいろありますが、一般的なのは肝を醤油に溶いた肝醤油に刺身をつけて食べたり、寿司にするにも刺身の上に肝をちょんと乗せたりするのが定番。
あぁそれなら回転寿司で食べたことがある、という方もいますかね。
回転寿司の場合は高級魚に味が似た代用品を使って安価に提供するのがビジネスモデル、ウマズラハギがまだ見向きもされなかった頃はそんないかにも不味そうな名前ではなくカワハギとしてメニューに載っていたのは間違いないでしょう。
そう書くと回転寿司はけしからんてなるかもですが、ビンチョウマグロのようにもっぱらツナ缶の原料として利用されていたものを回転寿司が寿司で提供し始めたことで刺身でもなかなかイケるのが広く認知され、安くて美味しいマグロの仲間として定着したケースもあります。
ウマズラハギの知名度向上にも少なからず影響しているかもですね。

さて、今日はそんなウマズラハギの刺身をこの季節ならではの肝ソースで味わう和製イタリアン。
肝はさっと湯通ししてから大蒜、レモン汁、オリーブオイルで溶いて、寿司のように刺身のひとつひとつにちょんと乗せます。
肝の美味しさばかりが注目されるウマズラハギですが、主役はもちろんフグやヒラメと比べても遜色ないと言われる身の方。
歯ごたえのある白身は和食では薄く削ぐようにして薄造りにしますが、それはカルパッチョにする場合もまったく同じです。



Ingredienti (per 4 persone)

ウマズラハギ1尾
にんにく1/2片
オリーブオイル適量
ルッコラ少々
プレッツェーモロ少々
黒胡椒適量
per la Salsa
ウマズラハギの肝1尾分
にんにく1/2片
レモン1/4個
オリーブオイル適量
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ウマズラハギは角のような背びれと歯の鋭い口先を切り落とし、作業をしやすくしてから、口先の切れ目のところの皮を持って後方に引くようにして皮を剥きます。
カワハギという名前のとおりつるんと気持ちよく剥けます。
次に目の後ろから中骨まで出刃包丁で切り、頭を手で腹側にひきちぎるようにして内臓を傷つけないように頭を取ります。
身は五枚に卸して薄皮を引きます。

肝をとり出したら熱湯でさっと湯通ししてすぐに氷水にとります。
水気を拭きとり包丁で叩いてペースト状にし、すりおろしたにんにく、レモン汁、オリーブオイル、塩、胡椒と混ぜ合わせます。

ウマズラハギの身を刺身包丁で斜めに薄く削ぐように切ります。
平皿ににんにくの断面を擦りつけ、刺身を隙間なく並べます。
オリーブオイルを少量たらし、指の腹でぺたぺたと馴染ませます。
肝ソースをスプーンで刺身一枚づつにちょんと乗せます。
岩塩と黒胡椒を挽きかけて、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らし、ルコラの葉をこんもりと乗せれば出来上がり。

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