2018年3月17日土曜日

Tartare di Gamberi Rosa e Fragole 甘海老と苺のタルタル仕立て

シーズン終盤の北陸に代わって旬を迎えた北海道産の甘海老を叩いて、春らしく苺と合わせた甘海老と苺のタルタル仕立て。
苺はここでは甘みよりもむしろ酸味がアクセント、ねっとりした中にも叩いてぷりぷり感が増した甘海老の食感と甘さを味わう逸品です。

甘海老って美味しいですよねぇ。
クセのない甘みが舌にねっとり絡みついて大人も子供も大好きな味。
値段もそれほど高くなく寿司ネタとしても常に人気上位だし、ほぼ通年流通しているため季節を問わず刺身の盛合せに欠かせない存在。
殻が軟らかくて剥きやすいので家庭で扱いやすいのもいいですね。

甘エビは車エビや大正エビなどと比べると少し小型ですが、成長途上の若エビというわけではなく、ああ見えても生後6年ほど経った成体。
その寿命たるや見かけによらず10年以上と長寿なのにびっくりです。
エビを漢字で海の老(人)と書くのは髭が長く腰が曲がった姿が老人を連想させるからなんですが、甘海老に限らずエビは総じて長生きなのでそれももうひとつの理由になってるかもしれませんね。

ねっとり甘いから甘エビの通称でほぼ全国的に通用しますが、正式名はホッコクアカエビ(北国赤海老)といいます。
北国の赤い海老って、なんだか共産圏のスパイのコードネームみたいで怖いんですけど笑、その名が示す通り殻の色は真っ赤でオホーツク海やベーリング海といった冬場は凍てつくような北の海域を好み、おまけに表層よりもさらに水温の低い深海に生息しています。
日本では富山や石川あたりの特産というイメージがありますよね。
でも、春が温暖な北陸産の甘海老の旬は2月いっぱいぐらいまで。
これと入れ代わるようにシーズンインするのが北海道産の甘海老です。
真冬の間は流氷が接岸し漁ができないため禁漁、そしてようやく流氷が遠ざかる3月に解禁されるというもの。
北海道ではこの真冬と真夏を除きほぼ通年甘海老漁が行われます。
知名度では北陸産も秀でていますが、漁獲量では北海道産が国内シェアなんと7割と圧倒的なんですね。

さて、今日はそんなぷりぷり感とねっとり感が同居したような甘海老を包丁で叩くことでさらに持ち味を引き出したタルタル仕立て。
そしてここに合わせたのがみずみずしい旬の新玉ねぎと、もうひとつがちょっと意外な素材、とちおとめ=苺です。
日本では料理にフルーツを使うという感覚があまりないため、ちょっとお洒落な創作系料理みたいに思われがちですが、イタリアなど西欧では魚介にオレンジなどの柑橘類を合わせたりするのはわりと定番。
柑橘類の旬は冬なので同じ甘海老でも北陸産ならオレンジとの組合せ、そして春の北海道産には苺がぴったりきます。
料理に果物を使うといっても果物の甘さを料理に足したいわけではく、すっきりした果汁の風味をつけたりフルーツ特有の酸味をアクセントに加えるのがのが目的。
レモンを搾りかけるのなんてまさにそうですよね。
とちおとめは日本一の生産量を誇る比較的大粒の普及品種。
目にも鮮やかな赤色が印象的で糖度が高く果汁が豊富、ほどよい酸味がねっとり甘いアマエビの良いアクセントになってくれます。

叩いた甘エビと刻んだ新玉ねぎ、さいの目にカットしたいちごをつなぐドレッシングにはいちごの搾り汁とオリーブオイル。
酸味が足りなければ少量のレモンの搾り汁。
真っ赤な甘海老の殻を剥くと、身は透き通るような乳白色、とちおとめの鮮やかな赤色が混ざると春らしいピンク色になります。
ここにワインを合わせるなら桜色のロゼ以外に思いつきませんよねぇ。
イタリアンワインならサクランボという名のチェラスオーロがお勧め。
イチゴのようなフルーティな甘みがあるのが特徴です。


Ingredienti (per 2 persone)

有頭刺身用甘海老(大)200g
イチゴ(とちおとめ)6粒
新玉ねぎ1/4個
オリーブオイル適量
白ワイン少々
レモン搾り汁少々
ブロッコリスプラウト適量
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

新玉ねぎはみじん切りにします。
苺(とちおとめ)は一個は潰してジュースにし、残りはスライスにして飾りにする分を取り置き残りをさいの目にカットします。
甘エビは頭を落として脚を取り去り、殻を剥いて包丁で軽く叩きます。
頭は使いませんので味噌汁や唐揚げにしたりしていただきます。

ボウルで叩いた甘エビ、新玉ねぎ、さいの目に切ったイチゴ、イチゴの搾り汁、白ワイン、塩胡椒、オリーブオイルを混ぜ合わせます。
味見をして酸味が足りないようならレモンの搾り汁を加えます。
エビの身が水分を吸うまで冷蔵庫で少し置いてなじませます。

平皿にセルクルを置き、マリネした甘えびを盛り付けます。
スライスしたイチゴを乗せてオリーブオイルをたらしかけます。
ブロッコリスプラウトを乗せセルクルを外し黒胡椒を軽く挽きかければ出来上がり。

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